ジルコン

G-DEFEND ファンコンテンツ

アレ城
[01] ギフト
西やんと内藤さん
[03] コール
冠累
[02] 約束
その他
[06]料理☆爆弾
     
[04] Don't cry,my Blue.
             
[01] 認められない理由
   

冠累

春の便り

 「おはー」と軽いノリと口調で開発室に現れたアレクは、久しぶりに顔を見せた仲間に相好を崩した。
「お帰り。香港はどうだった?」
「お疲れ様です、ボス。おかげさまでゆっくりできましたよ」
 こちらもにこやかに……というよりも、弛みっぱなしの笑顔を返した冠は、アレクにぺこりと頭を下げた。中国では西暦の正月よりも重んずる『春節』と呼ばれる陰暦の正月を故郷で過ごすため、それに合わせて冠は一週間ばかり里帰りをしてきたのだ。
「お土産、チョコの詰め合わせとゼリーの詰め合わせと冠ちゃんスペシャルギフトがあるけれど……」
「それじゃあ、チョ……」
「はい、ボスにはスペシャルギフト、タイガーバームとあからさまにアヤシイ漢方の詰め合わせ!」
「──やっぱり?」
 確認してもやはりスペシャルギフトしか望めないのがわかると、アレクは香港土産をありがたく頂き、隣の席の植草にも声をかけた。植草も冠に誘われ、香港へ同行していたのだ。
「うえぽんも、お帰り。何、向こうの写真?」
 尋ねると、植草はこくりと頷き、モニターに現地で撮った写真を表示して見せた。
 その中の一枚に目をとめたアレクは、引きつり気味の笑顔で冠の名を呼ぶ。
「何です?」
 アレクが指し示す先には、何やらパーティの一風景らしい冠と植草が並んで写った画像がある。冠は白のタキシード、そして植草は金糸の細やかな刺繍がちりばめられた深紅のチャイナドレスに薄化粧という出で立ちだった。
 アレクは、以前聞いた話を思い出す。『中国の花嫁衣装は赤のチャイナドレス』が未だに根強い人気であるということ──。
「ええと、これ、何?」
「綺麗でしょ? ボスも早く着せてあげなくちゃ」
 微妙に話をそらしながらも、さりげなく核心を突く答えを返す冠に聞くのは間違いと、アレクは矛先を植草に変更した。
「うえぽん、これ、何かわかる?」
「くぁんさんが……」
 それっきり視線をモニターへ返し、飄々と画像を繰っていく。
 植草はごまかしたのではないだろう。おそらく、よく理解していないだけなのだ。冠に上手いこと丸め込まれて。
「冠ちゃん、幸せ者だねぇ」
「でしょ? ボスもちゃちゃっと、やっちゃったらどうです?」
 目尻を下げる冠に、アレクは空笑いしか返せないのだった。
― 了 ―

あとがき
 前作『約束』の続きです。
 里帰りのついでに、結婚式を挙げてきた冠ちゃんのノロケ話でございました(笑)
 
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